こんな人にオススメ
- 厨二病患者
- ファンタジーが好きな人
- 神話・童話が好きな人
「生活のカラス」と「象徴としてのカラス」
カラス。
結構、好き嫌いが分かれますよね。
僕はどうかといわれると、うーん、答えに迷います。
僕の家の近くにもカラスはまあまあやって来て、ガーガーと鳴きちらしたり、ゴミをあさってたりしています。
鳥の中でもサイズが大きい方なので、いきなり飛びかかられたらビクッとしますよね。
なので、「生活の中のカラス」は、嫌いかな、というか、嫌いでした。
一方で、カラスに底知れぬ魅力を感じているのもまた事実。
黒ずくめの体で羽を舞わせ飛び交うあの姿、なんともこちらの厨二病心をくすぐります。
漫画やアニメでも、カラス使いやキャラクターはメジャーだし、やっぱカッコイイですよね。
そんなわけで僕は、「リアルのカラスは嫌いだけど、象徴としてのカラスは好き」です。
そんな僕が表紙買いした本が、これ。『カラスの文化史』。
どうです、この表紙?
カッコよくないですか?ムズムズしませんか?闇夜を闊歩したくなりませんか??
漆黒の表紙に誘われ、僕はカラスのダークファンタジーに迷い込むのです……!!
意外と地に足ついてる
……と、いき込んだのですが、読んでみると、結構現実的なカラスの話するんですね、この本。やれ日本にはワタリガラスがおおいとか、やれ大きいカラスでこんぐらいだとか、
期待していた「象徴としてのカラス」でなく、「生活の中のカラス」がメインのようです。
あれ、ちょっと期待外れ?
と、思ったのですが、読んでみると面白い。
何が?
「生活の中のカラス」がです。
カラスは頭がいい。
カラスって、僕らが想像するよりずっと、頭がいいんですって。
なんでも、体のサイズを鑑みると、カラスは鳥類でもダントツで頭がいい。
それだけでなく、全動物の括りで見ても、なんの人間に匹敵する程の頭脳を持っているらしいです!
なんと言っても特徴は、道具を使える点。
餌を獲るため、カラスは道具を自作して使用することもあるのだとか。
え、確かにずる賢いイメージあるけど、お前そんな頭良かったの?
これからは、カラスがゴミを漁っている様子をまじまじとみてしまうかも。
カラスは人間くさい
この著者が本書で一貫して主張するのが、人間とカラスの共通点です。
オランウータンのような霊長類ならまだしも、進化の過程が異なる鳥類が、何故ここまで人間くさいのか?
この謎を、著者は興奮交えながら熱弁するわけですね。(ホントに顔赤くして力説されているのが目に浮かぶ、そんな本でした)
じゃあ、どこが似てるの??
1つは、前述した頭脳です。
そしてもう1つは、嘘をつくことです。
カラスって、嘘をつくらしいです。人間以外に嘘をつく動物なんてそうそういないとか。考えてみればそうですよね。
どんな嘘つくの?
それは……読んでみてください!笑
僕はこの本読んで、嘘の記述が1番面白かったですねー。日常のカラスが途端にずる賢くみえて、生活カラスと象徴カラスが繋がった感じがしました。
カラスのイメージは世界共通?
『カラスの文化史』では、前述の「生活カラス」の他に、「象徴カラス」を表す、世界中のカラスの童話・逸話が度々紹介されます。
これらを読むと、やっぱりカラスは狡猾・姑息なイメージが持たれてるんですね〜。
世界中にカラスが愛されていることが分かる気がしました。
本棚に置いておきたい1冊。
日常のカラスにウンザリさせられながらも、心の奥底でカラスにある種の憧れを抱いていた僕。この『カラスの文化史』という本は、その奥底の気持ちを引っ張り出して、「ほら、お前も本当はカラスが好きなんだろう!?」と図星を突かれた思いにさせられました。
おかげで今の僕はすっかりカラス好きです。
あなたも本当は、カラス、好きでしょ??