
ディストピア小説。
国家や大きな権力による、徹底された管理社会。
トランプ政権発足後に一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)が爆売れしたのも記憶に新しいですが、ディストピア小説に関心がある人も多いのでは。
この記事ではディストピア小説がもっと楽しく読めるような、「権力」「支配」などをテーマにしたディストピア関連本を、僕の知っている範囲でご紹介します。
1.『カネと暴力の系譜学』
力が強いから偉いんだ、ということがよくわかる一冊。
「国家は暴力を合法的に行使できる唯一の組織である」という説明に目が覚める。
国家と人民、だけでなく日常生活の小さな単位でも応用できる考え方が書かれています。
2.『魔女狩り』
中世ヨーロッパで行われた「魔女狩り」の歴史について、網羅的に書かれた本。
伊坂幸太郎のディストピア小説火星に住むつもりかい? (光文社文庫)で扱われたテーマですね。
現実で起きた悲惨な大虐殺、現代で(小さな規模であっても)起きないとは限りません。
この歴史は知っておくべきかも。
3.『服従の心理』
ミルグラムの有名な思考実験について説明した本。
人は権力に逆らえないという残酷な事実を明らかにしてしまいました。
権力者に「やれ」と言われたら、非道徳的な行為も何故かしてしまう。
「そんな馬鹿な」と思ってしまうけど、、、
4.『戦争における「人殺し」の心理学』
こちらは「なぜ兵士は人を簡単に殺せるのか?」を解明する本。
答えは、「簡単になんて殺せない」なんですね。
良心を持つ兵士に対して行われた、「殺人」への抵抗感を無くす訓練の数々が印象的です。
5.『一億総ツッコミ時代』
ちょっと変わった角度から。
芸人・マキタスポーツの新書。「今は何をしてもツッコミ役が多過ぎない?」というテーマです。
SNSでの批判の嵐は、現代の監視社会と言えそう。
ディストピアというテーマは現代社会とも深く結びついているので、関連本を読むことで作品の奥行が深まると思ってます。