小さな男∧静かな声

「小説」が好きな人に、「小説以外」の本を薦めるブログ。趣味も入っています。

純文学初心者は「短さ」と「共感」で選ぶ。初めての純文学おススメ6冊

 

 

小説好きだったら純文学にあこがれを持つもの。

 

しかしいざ読んでみるとなかなか理解できないもの。評価されている作品が面白く感じられないと、私って実は小説好きじゃないのかな・・・と不安になったりします。

 

世にいう「純文学」にもタイプが色々あるので、今回は「読みやすい作品」に標準を絞って、「とにかく純文学を読んでみたい!」という人におすすめの作品を紹介します。

 

 ポイントは、短い作品、共感性の高い作品です。

 

①『変身』

まずお勧めするのがカフカの『変身』。

朝起きたら大きな虫になっていた、という有名なあれです。

キャッチ―なあらすじの中にも深いメタファーが含まれているのが大きな特徴です。

働き者の語り手がある日急に「虫」になった、最初は同情を示し協力の姿勢を示していた家族が、だんだんと「虫」を疎んでゆくその描写は、現代の精神病問題、介護問題に照らし合わせることができます。そうすると、ファンタジーが一気に身近なものに。

もし自分が「虫」になったら・・・と想像せずにはいられない一冊。

 

②『芋粥』

芥川龍之介の一編。短編なのですぐに読めます。

「死ぬまでに一度でもいいから芋粥を腹いっぱい食べたい」という願いを持つ主人公、ひょんなであいからその悲願が達成されてしまう、という内容。

夢を目前にした戸惑いと、実際に達成した時の何とも言えないもやもや感は思わず「あるある!」と叫んでしまいます。

芥川はほかにも共感性の高い短編が多いので、純文学初心者にはお勧めの作家です。

 

③『人間失格』

言わずと知れた超名作。この作品で文学に目覚めたという人も多いです。

太宰治本人をモデルにしたこの作品のとんでもないところは、「この本だけは私を理解してくれる!」と、読む人全員に思わせてしまう点です。

人が持つ、誰にも言えない負の部分を生々しく描き出し、「私と同じ人がここにいた」とおもわせる、みんなのただ一人の理解者になる『人間失格』は共感性No.1です。

 

④『蹴りたい背中』

現代の純文学から。綿矢りささんが19歳で芥川賞をとった作品です。

女子高生の主人公による軽くも退廃的な語り口は生々しく、中高生ならばその文体自体に共感してしまします。

周囲に敏感な若者の心情の吐露は、現代の太宰治といえる共感性があります。

 

⑤『コンビニ人間』

僕が初めての純文学として一番お勧めしたいのが『コンビニ人間』です。

恋愛、定職、結婚のような「普通の幸せ」が分からない主人公が、周囲とのギャップにもまれながらも自分の生活を淡々と全うするという内容。

「普通」とは何かを徹底的に問いかけた本作。テーマが分かりやすく、自らに落とし込めて深く考えることができます。というか、考えられずにはいられない切迫感がこの作品にはあります。

 

⑥『檸檬』

梶井基次郎の代表作。

正直「共感性」という意味ではここでおススメするのはふさわしくないのですが、どうしても薦めさせてください。

 というのも、この短編は「文学の芸術性をシンプルに、かつ強烈に閉じ込めた作品」だからです。

この一編には純文学の魅力が濃縮されて詰まっています。とても短い作品なので、集中して読んでみてください。

 

 

紹介した本はどれも短く、読みやすいものばかりです。

僕自身も純文学はよく読む方ではないので、それでも「読める!すごい!面白い!」と感じた本を選びました。

ハードルは低いと思うので、ぜひ手に取ってみてください。

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