『リアル人生ゲーム完全攻略本』という本が面白いです。
誰もが一度は夢にする「人生の攻略本」。え、本屋に普通に売っていたとは。。。
著者は架神恭介×至道流星。この二人ならこの出オチ感のあるタイトルも納得というか、
これまでにもぶっ飛んだ(かつ大真面目な)本を出してるお二方ですね。
この本も例にもれずめちゃくちゃ面白く、かつためになったのでご紹介します。
人生は「幸福点」を稼ぐゲーム
『リアル人生ゲーム完全攻略本』の前半・「説明書」パートは、
『人生』というゲームを運営する神が、プレイヤーの人間たちからの「クソゲーだ!!」という苦情を受け、上司の神に「説明書」の作成を命じられるストーリー仕掛け。
『人生』の世界へようこそ!ここではあなたは種族「ホモ・サピエンス」の1人としてゲームをプレイします。あなたはおいしい食事をしたり、生殖行為を行ったり、人から讃えられたり、自尊心を満足させることで「幸福点」を入手できます。ゲームオーバーになるまでにほかのプレイヤーよりも多くの「幸福点」を稼ぎ、ハイスコアを目指しましょう!
『リアル人生ゲーム完全攻略本』p16
「お金」は一般的には「寿命」を消費することで入手できます。あなたの「ジョブ(職業)」により、「寿命」を「お金」に変換する際の変換効率が変わってきます。1時間の「寿命」を1000円にしか変えられない人もいれば、5000円や1万円に変えることのできる人もいます。
できるだけ変換効率の高い「ジョブ(職業)」につくのが一般的な”巧いプレイング”となります。ただし、変換効率の高いジョブほど、要求されるスキルや名声、トロフィーなどの条件が厳しくなります。
同p21
こんな調子で、神様は『人生』の説明書を仕上げていきます。結婚、趣味、寿命など、あらゆる人生のイベントを全部余すことなくゲームにたとえられているのは感心します。
個人的に面白かったのは隠しパラメータ「タイプ」。この「人生」というゲーム、プレイヤーごとに「芸術家」「ロマンチスト」「汚い金持ち」など異なるタイプが設定されていて、幸福点の獲得方法によって倍率をかけているようです。
なので「金をたくさん稼いで、大きな家を買って、女をたくさん抱いて・・・」といった人生が必ずしも万人の幸せにならないんですね。
自分自身のタイプを見極め、自分自身の幸福点の稼ぎ方を見つけることが大切なんですね。なるほど・・・。
人生ゲームプラス 令和版 初回版(1セット)posted with カエレバ
攻略本は非情な現実を突きつける
後半は「攻略本」パート。『人生』のフィールドとなる地球社会の概観や、これから起こりうるビッグイベントの対応方法を解説しています。
すべてをゲーム風にたとえてしまう鮮やかさはそのままに、「攻略本」パートは「説明書」パートより雰囲気かたく、読み応えのある文体になっています。
(この構成はスゴイ!スラスラ進む「説明書」パートの勢いのままに、最後まで読み切ってしまえる)
子供を授かるメリットとは?
早期リタイアするには何が必要?
年金はいくらもらえる?
など、人生におけるイベントの選択肢にヒントを与えてくれます。
また、ここのパートでは実際のデータをもとに現代の人生を生き抜くための心構えが書かれているわけですが、それらのデータが非常にキツイ。つらい現実を突きつけてきます。
- プレイヤーが交通事故にあう確率:33.4%
- 親が認知症になる確率:14~25%
- 日本の財政破綻:100%
等々。
ああ、生きていくためにはこれらを乗り越えていかなくちゃいけないんだな・・・と暗い気分になります。
しかしこれは人生を攻略するために知っておかなくてはならないこと。
未来を1点にしぼらず、すべての可能性に向けて準備し、臨機応変に、変幻自在な存在になってこのゲームを攻略しよう。さすれば驚くべき状況が目の前に出現しても、他のプレイヤーたちが呆然と立ち尽くすなか、自分は優位かつ楽しいプレイを継続していけるはずだ。
同p216
大切なのは厳しい現実から目をそらすことでなく、厳しい現実に向けて備えをして、対応すること。
名に違わぬ「攻略本」
企画勝負とも取れそうなこの『リアル人生ゲーム完全攻略本』ですが(その勝負は大勝ちしていますが)、実際のところは楽しく読めて学びも多い、まさに「人生の攻略本」と呼べる本でした。
軽さも重さも含めて、ここまでタイトルが内容を表す本も珍しいです。タイトルに立ち止まった方は、立ち読みだけでもぜひ!