「集団行動」というバンドがあります。

「相対性理論」の元メンバー・真部脩一と西澤謙介がボーカルに斉藤里奈を介してスタートさせたバンド。
「相対性理論」の音楽性を作り上げた真部脩一が全ての作詞・作曲をしているので、理論ファンならまずハマるんじゃないかというバンドです。
サイレンの音
うーうーうーうー
がサビの『婦警さんとミニパト』など。
毒にも薬にもならない、ワンダーランドな歌詞。
自己完結型の曲が好き。歌詞にメッセージ性はいらない。 – 小さな男∧静かな声
でも、ぼくが一番好きな歌は、『会って話そう』という歌、ストーリー性のある歌詞です。
相対性理論でいうなら、うーん、『地獄先生』あたりが近いかも。

この歌の特徴はボーカルの斉藤里奈とギターの真部脩一による会話調のサビ。
会って話そう「電話で」
今すぐ会ってから話そう「いや電話で」
声じゃ伝わらない
目と目のコミュニケーションで話そう
「ありがとう でも電話でもいいかな」
カギカッコの部分が真部さんのパートです。
「会って話そう」と頼む女性に対して、男性は「いや電話で」の一点張り。
軽やかなメロディで、男女が「別れようとする瞬間」を歌っています。
思えば、この瞬間を取り上げてる恋愛ソングって少ない気がします。
切ないのは、この男性がとても優しい性格であることが感じ取れ、「クズ人間!」と非難できないんですね。
そして軽やかなメロディと斉藤さんの平坦な歌声で、辛い状況なはずなのに何ともないように聞こえてしまうのもまた切ない。
サビ部分は4回。(冒頭、メインサビ、大サビ×2)
はじめの2回は上掲の「会話調」歌詞、大サビからは変わります。ここがポイント!
ちょっと震える
「ん?震える?さっきのサビとは違うのか…。
何が震えてるんだろ…」
拳を
「拳!?拳震わせてる!?」
握りしめて戻らない きみを 大事にしたいの
「えー!平気そうに歌ってたのに、やっぱ全然平気じゃなかったじゃん!無理してたんじゃん!」
と判明する仕組みなんですね。
それまでのサビでは会話調=客観視点に終始していたものが、トーンダウンした3回目のサビで心情をありありと表現している!
グッときてしまいます。
そしてラストサビ。
いつか悲しい ことまで消える前に
今日を残そう
「やめとこう 道はつながらない」
会って話そう 最後に
せめて火花を散らそう
また今度は きっと訪れない
一息で消える炎を燃やそう
話そう もう電話でもいいから
「やめとこう 道はつながらない」の男の返事には揺るがない意志を感じます。
この男の声の優しさに誠実さを感じてしまうのが残酷。
ついに、「電話でもいいから」と肝心なはずの部分を譲歩してしまう女ですが、結果はおそらく。。。
別れる瞬間を切り取ったこの曲は、結構珍しい。
それを、装飾なしに生々しい温度で表現しているのが最高にキます。
自分のうちではとんでもない大事件が起こっているのに、自分の外の、時計がカチ、カチと響いているだけの空間に気づいた時の間抜け感、そんな感じのメロディが『会って話そう』最大の魅力です。
ぜひ、曲を聴いて欲しい!youtubeの公式音源だけではほんの一部しか流れないので、定額サービスかなんかで、ぜひ…!