読書感想文の季節ですね。
後回し後回しでヤバいまだ本も読んでない!っていう人もいれば、
じっくり取り組んで賞を目指す人もいるでしょう。
小説家の朝井リョウさんが以前、ラジオで
「読書感想文の書き方」を解説していたことがありました。
その方程式がかなり使えそうだったので、ご紹介します。
この方法で、「楽に、高品質の」読書感想文が書けます。
Contents
「自分の変化」を書く。
朝井リョウが一番強調していた部分。
・本を読む前の自分
・本を読んでいる自分
・本を読んだ後の自分
があったとしたら、「本を読んでいる自分」というのは一行でいいそう。
大事なのは自分の変化、そこを見せるのが読書感想文、とのこと。
①変化を見つける
それを踏まえて読書感想文を書くときにまずやるべきことは、
自分が最近変化したことを見つけること。
嫌いだったおばあちゃんが好きになったとか、
虫が触れるようになったとか、何でもいいそうです。
②自分の変化に合わせた本を探す
その変化を見つけたら、それに合わせた本を探すのが
第2ステップ。
どうやって見つけるか?
朝井リョウ曰く、基本何でもいい、とのこと。
使えそうな本をペラペラ~とめくって、
自分の変化に寄り添うような登場人物のセリフをひとつ頑張って見つける。
(地の文よりもセリフのほうが先生受けがいいらしいです。)
その前後を読んで内容を把握し、そこをとっかかりとして
「自分の変化」を作文する。これでOK。
時間が無かったら全部読まなくても読書感想文は書ける、と
朝井さんは言っていました。
登場人物の変化と自分の変化をシンクロさせる
じっくり時間をかけて読書感想文を仕上げたい方、
つまり本を一冊ちゃんと読んで感想文を書く方は
もう一段レベルアップした方法があります。
これは朝井さんと、ラジオ番組のパートナーである歌人・加藤千恵さんも
おススメしていた方法。
それは「登場人物の変化と自分自身の変化をあわせる」ということ。
小説の多くは、登場人物の心情の変化を主軸として物語を進めています。
物語を経た中で、冒頭とラストのキャラクターの成長を、
自分自身の成長とシンクロさせて書ければ、説得力のある
素晴らしい作文になるはずです。
「自分の変化を書く」作戦、楽。
以上の朝井リョウ式「読書感想文」、個人的には納得です。
単純に質の高い読書感想文ができるだけじゃなく、
この方式だとスラスラ書けるのもポイントですね。
下手な読書感想文って「~の部分を読んで・・・と思った。」の連続になりがちなんですが、これってまさに「本を読んでいる自分」の部分なんですよね。
この連続の感想文は幼稚に見えるだけじゃなく、書いていてもしんどいんです。
「~で・・・と思った」で稼げるのはせいぜい200~300文字。
これを原稿用紙5枚書くとしても6、7回繰り返さなければいけません。
対して自分の変化を書くのだったら、エピソードひとつさえ用意出来たら
一気に走り抜けちゃえるので、結構ラクなんですね。
なのでクオリティを高めたいだけじゃなく、単に楽をしたいという人にも
「自分の変化を書く」作戦、お勧めです。
感想文を書きやすい、おすすめ本
かといって、実際何を読めばいいの!?
と思う人もいるでしょう。
朝井リョウは「何でもいい」と言っているけど、
それが一番困るんだよ・・・と。
そこで、朝井リョウ式で読書感想文を書く人に向けて、
「これなら自分の変化とシンクロさせやすいんじゃないかな」と
ぼくが考えた本をご紹介します。
①『しゃべれどもしゃべれども』佐藤多佳子 新潮文庫
こんな人におすすめ
- 後輩の指導をしてる人
- しゃべり下手な人
- 友達とけんかした人
「自分の変化」シンクロ率の高さで選びました。
半人前の落語家が、様々な事情を抱えた人たちに落語を教える話。
小説の読みやすさもさることながら、
悩みを抱えた登場人物の変化のバリエーションが特徴です。
素人に落語を教えながら自らの技術不足に悩む落語家。
クラスのガキ大将を見返したい少年。
人とうまくコミュニケーションが取れない女性。
これらの人間が成長する姿にシンクロする人は多いのでは、と感じました。
②『よるのばけもの』住野よる
こんな人におすすめ
- 周囲の目が気になる人
- 勇気を出してみた人
- 友達ができた人
夜になると化け物になる主人公がクラスのいじめられっ子と話し、
次第に心を通わせていく物語。
学校が舞台の話で、共感性は高いと思います。
「周りの目を気にせずにいじめられっ子の味方をできるか?」
というテーマは、身近な問題として感じるはず。
③『カラフル』 森絵都 文春文庫
こんな人におすすめ
- 家族の大切さに気付いた人
- 自分に自信を持ててきた人
言わずと知れた名作。
一度死んだ「ぼく」が天使の気まぐれで第二の人生をプレゼントされ、
他人の人生を過ごす中で「ぼく」の生前の罪を探る話。
「ぼく」の視点で物語を読み進めるにつれ、今まで生きてきた世界に
次々と新しい発見ができるのがこの本一番の魅力。
その中のひとつでも自分の体験と重なったら、
綺麗な読書感想文が書けると思います。
終わりに
読書感想文は早めに終わらせましょう!!!!