お正月の風物詩といえば箱根駅伝。
10人が決死につなぐタスキには毎年ドラマがこめられ、涙なしには観戦できません。
箱根ファン必読・今回は「箱根駅伝」を題材にした小説を4冊ご紹介します。
①『風が強く吹いている』三浦しをん
箱根駅伝を走りたい――そんな灰二の想いが、天才ランナー走と出会って動き出す。「駅伝」って何? 走るってどういうことなんだ? 十人の個性あふれるメンバーが、長距離を走ること(=生きること)に夢中で突き進む。自分の限界に挑戦し、ゴールを目指して襷を繋ぐことで、仲間と繋がっていく……風を感じて、走れ! 「速く」ではなく「強く」――純度100パーセントの疾走青春小説。
ーあらすじ
箱根駅伝といえばこの小説。
アニメ化、実写化もされた名作スポーツ小説です。
怪我によって一線を退いた元・一流ランナーが一年で駅伝部を立ち上げ、長距離経験のないチームメイトとともに箱根駅伝出場、シード権獲得を目指す物語。
これぞスポ根!な王道展開と感涙必至のクライマックスが見どころ。
一年を通した練習→予選会→本戦の流れで進行していき、箱根駅伝ファンなら必ず楽しめる一冊です。
②『チーム』堂場瞬一
箱根駅伝出場を逃がした大学のなかから、予選で好タイムを出した選手が選ばれる混成チーム「学連選抜」。究極のチームスポーツといわれる駅伝で、いわば“敗者の寄せ集め”の選抜メンバーは、何のために襷をつなぐのか。東京~箱根間往復217.9kmの勝負の行方は―選手たちの葛藤と激走を描ききったスポーツ小説の金字塔。巻末に、中村秀昭(TBSスポーツアナウンサー)との対談を収録。
ーあらすじ
こちらも有名な駅伝小説。
「学生選抜」に焦点をあてた物語で、寄せ集めの急造チームで走る選手の人間ドラマが魅力です。
特に選手たちの心理描写が濃密で、自分もチームの一員になったような臨場感を味わえます。
『風が強く吹いている』よりもリアル志向の小説になってます。
『ヒート』『チームⅡ』と続編もあるので、読み応えもバッチリです。
③『冬の喝采』黒木亮
北海道の雪深い町に生まれ育った少年が、ふと手にした陸上競技誌。その時から走る歓びに魅せられ、北海道中学選手権で優勝するまでに成長するが、それは奇妙な運命をたどる陸上人生の始まりに過ぎなかった。親友の死、度重なる故障、瀬古利彦という名選手との出会い、自らの出生の秘密……。走ることへのひたむきな想いと苦悩を描く自伝的長編。
ーあらすじ
こちらは元・箱根ランナーの小説家による自伝的小説。
名門・早稲田大学の競走部に所属していた著者が描く物語は、リアルさでは随一です。
鬼監督の厳しい指導、故障に苦しむ日々など、箱根駅伝の「厳しさ」に焦点があてられ、勝負の世界を淡々と綴っています。
テレビで見る華々しい勝負の裏側を知ることができる貴重な小説。
また、同時期に大エースとして活躍していたチームメイト・瀬古利彦の描写が多いのも箱根ファンにはたまらないところ。
今では解説者としてのイメージが強い瀬古さんですが、現役時代はこんなに化け物だったのか、、、と驚きです。
箱根駅伝の裏側を知りたい人にはお勧めできる一冊です。
④『陸王』池井戸潤
勝利を、信じろ。足袋作り百年の老舗が、ランニングシューズに挑む。このシューズは、私たちの魂そのものだ!埼玉県行田市にある老舗足袋業者「こはぜ屋」。日々、資金操りに頭を抱える四代目社長の宮沢紘一は、会社存続のためにある新規事業を思い立つ。これまで培った足袋製造の技術を生かして、「裸足感覚」を追求したランニングシューズの開発はできないだろうか?世界的スポーツブランドとの熾烈な競争、資金難、素材探し、開発力不足―。従業員20名の地方零細企業が、伝統と情熱、そして仲間との強い結びつきで一世一代の大勝負に打って出る!
あらすじ
こちらは箱根駅伝ではありませんが、長距離シューズの開発ドラマを描いた大長編。
2017年に日曜劇場でドラマ化されたこともあり、ご存じの方も多いと思います。
昨今の厚底シューズの進化ともリンクする部分があり、ランナーを支えるメーカーの苦悩には思わずのめりこんでしまう求心力があります。
池井戸潤の企業モノという点もあり物語自体の面白さもお墨付き。陸上マニアなら絶対に楽しめる本です。
おわりに
3冊ともそれぞれ違ったアプローチをされていて、
読んだ後には箱根駅伝をまた違った視点で楽しめるようになります。
箱根駅伝ファンならいずれもハズレのない3冊ですので、是非読んでみてください。