おすすめ本まとめ

オードリー若林のエッセイまとめ!悩める若者におすすめの3冊

はじめに・若林の人気とは?

オードリー・若林は、10年前のブレイク時代とは打って変わって、今ではすっかり大物芸人の風格が出てきました。

若林はほかの芸人とは違った魅力があるように感じます。

それは、「悩みを抱える若者の先導者」のような存在である点。

今までの芸人は天性の才能と明るい性格で笑いを届ける、クラスの一軍感がありました。

対して若林は、「人見知り芸人」「女の子苦手芸人」の奔りであり、ブレイク当時は暗くネガティブな性格を隠そうとしませんでした。

そんな性格の若林は仕事に対しての悩みや疑問を隠そうとせず、ラジオやテレビでオープンにしていました。

そして今の若林は根っこの部分は変わらないものの、根暗なオーラは払しょくされ、のびのびと仕事をしている印象があります。

このような若林のブレイクの軌跡は、現代を生きる「考えすぎる」若者たちの生き字引的存在になっていると思います。

周囲から「考えすぎだよ」「肩の力を抜きなよ」といわれながら「考えすぎない」方法がわからない人にとって、考え続けながら芸能界を突き進んでいった若林の存在は大げさに言えばある種の希望です。

前置きが長くなりましたが、今回はそんなオードリー若林の思考の軌跡が詰まったエッセイを紹介します。

若林エッセイ①『社会人大学人見知り学部卒業見込み』

若手芸人の下積み期間と呼ばれる長い長いモラトリアムを過ごしたぼくは、随分世間離れした人間になっていた―。スタバで「グランデ」と頼めない自意識、飲み屋で先輩に「さっきから手酌なんだけど!!」と怒られても納得できない社会との違和。遠回りをしながらも内面を見つめ変化に向き合い自分らしい道を模索する。芸人・オードリー若林の大人気エッセイ、単行本未収録100ページ以上を追加した完全版、ついに刊行!

あらすじ

M-1グランプリ2008準優勝での脚光からスター街道に放り出された人見知り芸人・若林の、苦悩と葛藤を

赤裸々に綴った名著。

この本によれば、下積み時代の20代は若林にとって「社会人」とは認められていないと感じていたようで、

テレビ出演が急増した30代から、急遽芸能界という社会に投げ出され、毎日毎日悩んでいたそう。

これはなんで?」の自問を繰り返す若林の性分がありありとこの本には詰まっています。

この本に描かれる若林の思考の軌跡は、「考えすぎ人間」には共感できる内容で、この辺りをオープンにさらけ出している点が多くの若者に支持を受けている所以でしょう。

若林エッセイ②『カバーニャ要塞と表参道のセレブ犬』

第3回斎藤茂太賞受賞! 選考委員の椎名誠氏に「新しい旅文学の誕生」と絶賛された名作紀行文。

飛行機の空席は残り1席――芸人として多忙を極める著者は、5日間の夏休み、何かに背中を押されるように一人キューバへと旅立った。クラシックカーの排ガス、革命、ヘミングウェイ、青いカリブ海……「日本と逆のシステム」の国の風景と、そこに生きる人々との交流に心ほぐされた頃、隠された旅の目的が明らかに――落涙必至のベストセラー紀行文。特別書下ろし3編「モンゴル」「アイスランド」「コロナ後の東京」収録。解説・Creepy Nuts DJ松永

あらすじ

芸能界を生き残り、売れっ子芸人の地位を確立した若林が日本の資本主義システムに疑問を持ち、

急遽社会主義国・キューバへ旅立った際の紀行録。

日本とは真逆の国で何を見て何を思ったか、若林の哲学自体はどのように変化していったか、

若林の思考力の深さ、世界全体に対する誠実さがあふれる一冊となっています。

考えることが好きな人にとっては、他人の頭の中をのぞくような体験ができるこの本は楽しめると思います。

若林エッセイ③『ナナメの夕暮れ』

オードリー若林、待望の新エッセイ集!『完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込』から3年。雑誌「ダ・ヴィンチ」での連載に、大幅に書き下ろしエッセイを加えた、「自分探し」完結編!ゴルフに興じるおっさんなどクソだと決めつけていた。恥ずかしくてスタバで「グランデ」が頼めない。そんな自意識に振り回されて「生きてて全然楽しめない地獄」にいた若林だが、四十を手前にして変化が訪れる――。ゴルフが楽しくなり、気の合う異性と出会い、あまり悩まなくなる。だがそれは、モチベーションの低下にもつながっていて……

「おじさん」になった若林が、自分と、社会と向き合い、辿り着いた先は。

あらすじ

今のところのオードリー若林エッセイ完結編。

必ず「社会人大学人見知り学部」とセットで読んでほしいです。

「社会人大学」で描かれた、30代の苦悩を経て、40代、約10年間、社会にもまれ考えつくした若林がどのような境地に達したのか、今まさに「考えつくしている」最中の皆さんにとっては参考になる一冊だと思います。

『ナナメの夕暮れ』というタイトルは、世の中をナナメの視点で常に見ていた若林の哲学に終わりが訪れた(夕暮れ)ことを表しています。

伝記というと大げさですが、悩みに悩んだ若林の半生は一読するに値すると思います。

おわりに

若林のエッセイはただ面白いだけじゃなく、生きにくさを感じる若者を勇気づける文章が詰まっています。

それは読者に向かって打算的にアドバイスを投げるのではなく、ただ自分自身の思考をありのままに綴ったからこそ、そこに共感できるものです。

芸人の枠を超えた名所であることは間違いないので、ぜひ一度手に取ってみてください。