おすすめ本まとめ

森絵都のおすすめ小説4選。すべての世代を惹きつけるテーマ性

直木賞作家・森絵都の著作紹介。

超ヒット作を複数抱える森絵都さんの魅力をご紹介します。

森絵都の作風について

森絵都さんの作品は、子供にも受け入れられる文章の読みやすさ、大人にも刺さるテーマ性の深さ、2つの両立が特徴です。

森絵都といえば児童文学、という印象の人も多いと思いますが、事実児童文学作家としても超一流ではありますが、直木賞受賞作『風に舞い上がるビニールシート』など、大人の心情に寄り添う作品も多く世に出しています。

老若男女、幅広い世代にとって受け入れられる、どころか人生の一冊レベルの作品を届けられる作家はそういません。

森絵都のおすすめ小説①『カラフル』

「おめでとうございます! 抽選にあたりました! 」 生前の罪により輪廻のサイクルからはずされたぼくの魂が天使業界の抽選にあたり、 再挑戦のチャンスを得た。 自殺を図った中学三年生の少年、小林真の体にホームステイし、 自分の罪を思い出さなければならないのだ。 ガイド役の天使のプラプラによると、父親は利己的で母親は不倫しており、兄の満は無神経な意地悪男らしい。 学校に行ってみると友達がいなかったらしい真に話しかけてくるのは変なチビ女だけ。 絵を描くのが好きだった真は美術室に通いつめていた。 ぼくが真として過ごすうちに、しだいに家族やクラスメイトとの距離が変っていく。 モノクロームだった周囲のイメージが、様々な色で満ちてくるーー。 高校生が選んだ読みたい文庫ナンバー1。累計100万部突破の大人も泣ける不朽の名作青春小説。

あらすじ

いわずと知れた児童文学の金字塔、森絵都の代表作。

森絵都入門編をお探しであればまずこの本をおすすめします。

児童文学でありながら内容自体はむしろ悩める大人にこそ読んでほしい作品、というか、「これを子供のころに読んでおけばよかった、、、」と後悔してしまうこと受け売りの作品。

「この世があまりにもカラフルだから、僕らはいつも迷ってる。どれがほんとの色だかわからなくて。どれが自分の色だかわからなくて。」

悩んだときに心の支えになってくれる、いろんな人の「人生の一冊」になりうる作品です。

森絵都のおすすめ小説②『DIVE‼』

高さ10メートルから時速60キロで飛び込み、技の正確さと美しさを競うダイビング。赤字経営のクラブ存続の条件はなんとオリンピック出場だった。少年たちの長く熱い夏が始まる。小学館児童出版文化賞受賞作。

あらすじ

飛び込み競技でオリンピックを目指す少年たちの青春小説。

こちらも日本のスポーツ小説のトップを張りうる大傑作です。

ある天賦の才能を見出された中学生・知季。日本を代表するスーパーエース・要一。伝説ダイバーを祖父に持つ野生児・飛沫。

上下巻のボリュームの中で三人にそれぞれスポットを当てながら、スピード感のある展開で一気に読まされます。

少年漫画的な熱さもあり、巧みな競技描写もあり、本当に「爽やか」という言葉が似合う小説です。

森絵都のおすすめ小説③『みかづき』

昭和36年。放課後の用務員室で子供たちに勉強を教えていた大島吾郎は、ある少女の母・千明に見込まれ、学習塾を開くことに。この決断が、何代にもわたる大島家の波瀾万丈の人生の幕開けとなる。二人は結婚し、娘も誕生。戦後のベビーブームや高度経済成長の時流に乗り、急速に塾は成長していくが…。第14回本屋大賞で2位となり、中央公論文芸賞を受賞した心揺さぶる大河小説、ついに文庫化。

あらすじ

恩田陸『蜜蜂と遠雷』と本屋大賞の座を争った大長編。読了当初は、ここまでのキャリアを築きながらここにきてまだ代表作を生み出すの、、、?と感嘆しました。

戦後の日本、学習塾を発展させようと腐心した家族の三代記。ページ数そのものもさることながら、非常に重厚感のある内容で、目標に向け生涯を注いだ家族の人生を体験することができます。

この家族が黎明の学習塾に「みかづき」を重ねた意味、教育に対するそれぞれの信念と衝突。

読み応えのある作品でがっつり読書がしたい!という方にお勧めです。

森絵都のおすすめ小説④『風に舞い上がるビニールシート』

才能豊かなパティシエの気まぐれに奔走させられたり、犬のボランティアのために水商売のバイトをしたり、難民を保護し支援する国連機関で夫婦の愛のあり方に苦しんだり……。自分だけの価値観を守って、お金よりも大事な何かのために懸命に努力し、近づこうと頑張って生きる人たちを描いた6編を収録。

あらすじ

直木賞受賞作の短編集。

上3冊とは異なり、壮大なスケールの本ではありません。その代わり、日常を生き抜く人たちを丁寧に描いた、大人向けの作品集です。

やっぱり生活するって楽じゃないよな、でもどうせ生きるならこの人たちみたいに悩みながら生きていきたいよな、と少しの勇気をもらえる一冊。

個人的にはサラリーマンの悲哀を描いた「プロジェクトX」が好きでした。

おわりに

森絵都の作品を紹介しました。

老若男女、全世代に刺さるテーマ性と文章力が魅力の作家です。どれを読んでも損はしないと思うので、未読の方はぜひ試してみてください。